第12章 オマケページももこ篇 初恋
翔ちゃんの言葉にあたしの胸はズキンと痛んだ。
その場から立ち去ろうとした時、翔ちゃんがあたしの姿に気づく。
「ももこ。」
「あ、ノート取りに…」
あたしは急いで机の中からノートを出すと、走って教室を後にした。
「ももこ!」
そしてそれから卒業するまで、翔ちゃんとはろくに口を利くこともなく、あたし達はバラバラになった。
「あんなこと言うつもりじゃなかった。ホントは好きだったのに…思春期だったから。」
「フフッ。何それ。」
「ずっと後悔してた。ちゃんと気持ち伝えてればって。ももこも俺のこと好きだったよな?」
「うん…」
「俺さ、今でも変わらないよ。ずっと忘れられなくて。オマエのこと。」
ーえぇー!?ー
「オマエ今、彼氏とかいんの?」
「うん、いる。」
「そっか。そうだよな。オマエに彼氏ができないわけないもんな。ごめんごめん。」
「ありがとう。でもあたし、今はその人が一番大切だから。」
「わかった。変なこと言ってごめん。」
翔ちゃんは頭を掻いた。その癖、変わってないな。
「でも、せっかく再会したんだし、お茶でもしてかない?」
ーどうしよう…ー
その時浮かんだのはセンパイの顔。
「ごめん。やめとく。」
「そっか。…じゃあ、元気で。」
「翔ちゃんもね。」
翔ちゃんは笑顔で手を振ると、背を向け歩き出した。