第7章 巻き込まれた(?)GW
うーむ。お母さんが雷獣っていう妖怪だから、奴良リクオ君がぬらりひょんのカードがばかりが来るように、雷獣のカードばかり来ると思ったのだけど…
全くそういう気配ナシッ!
やはり、奴良リクオ君は特別な運でも持ってる?
そう思っていると、島君の言葉に奴良リクオ君は苦笑しながら横に手を振った。
「え!? たまたまだよ、たまたま! ボクはフツーフツー! あっ!」
奴良リクオ君は通路の後ろ側に顔を向けると、立ち上がった。
「ボク何か買ってくるよ。皆、何がいい?」
ん?
奴良リクオ君が視線をやった方を向くと、販売員の制服を着たお姉さんが色々な商品を乗せたワゴンを押し、こちらへやって来ていた。
皆は次々と注文を奴良リクオ君にして行く。
私はなけなしの財布の中身の事を考え、一番安いものを頼んだ。
アーモンドキャラメルだ。
霊符を購入したのが痛かった。でも、うん……後悔しちゃダメだ!
霊符は、必要なんだから!
でも、ポッキーも欲しかった……
皆の注文を聞き終えると、奴良リクオ君は販売員さんの居る方向に向かってタタタッと駆け出した。
そんな奴良リクオ君を、つららちゃんは目を輝かせながら見送った。
と、そんなつららちゃんの向かいの席に座っていたカナちゃんがつららちゃんを半眼で睨みつけていた。
カナちゃんは見えない黒い空気を発しているようだ。
隣に座っている鳥居さんと巻さんはおしゃべりに夢中になっていて、カナちゃんの様子に気付いてない。
うおあ!? カナちゃん!? どしたの!?
なにか、怒ってる!?
首を傾げていると、腕にたくさんのお菓子を抱えた奴良リクオ君が戻って来た。
そんな奴良リクオ君に、つららちゃんは可愛らしい声で声援を送る。
「リクオ君、頑張れー! ファイト!」
そしてカナちゃんの顔が、何故か怒りの表情に変化していた。
背中に稲光が見える。
と、原作の内容をふいに思い出した。
ん? そう言えば、原作ではつららちゃんとカナちゃんってライバル同士だったっけ?
て、事は、現実でもそうであるなら、カナちゃんは今、奴良リクオ君を応援しているつららちゃんに嫉妬してるって事?
おお! 嫉妬という事は、奴良リクオ君の事を好きになってる、って事だ!
原作通りの恋愛! 映画見てるみたい!
そう思っていると、何故か胸の中にモヤッとしたものが広がった。