第13章 わくわく京都への旅
引き込まれた先は夜リクオ君の広く暖かい胸の中だった。
後悔の念が一瞬に霧散し、驚きに変わる。
「リ、リクオ君!?」
目を見開き上を見上げると、夜リクオ君は真っ直ぐにぬらりひょんさんを見据えていた。
「じじい。今すぐ3代目の座を寄こせ」
リクオ君、突然何言ってんのー!?
「親父の妻だったモンを蔑ろにし、自分の目的の為だけに産みの母をも地獄へ落としやがった晴明をオレは許せねぇ……だから、倒す為に力がいる」
と、夜リクオ君のセリフに感慨深い声音でぬらりひょんさんが、口を開いた。
「リクオ……男になったのう……。有永の。どうじゃ、ワシの孫は。カッコ良いじゃろう?」
「ははは。そうですねぇ」
ほのぼのとした会話が後ろで進む。
それのおかげか、乙女さんの死への後悔は小さくなった。
はぁ、と大きく息を吐く。
と、何故かまた強く抱き締められた。
うわわわ、はだけられた胸に身体が密着して、直に体温感じるーっ!
恥ずかしすぎるーっっ
でも……、背中に回された腕がきついっ。
「リクオ君っ、リクオ君っ、くるしっ!」
痛みを訴えるが、私の言葉を気にした風でもなく夜リクオ君は私の耳に口を寄せた。
「アイツにも渡さねぇ……」
は? アイツ?
誰の事?
頭の中をクエスチョンマークでいっぱいにしていると、後ろから「よう、」と声を掛けられた。
リクオ君は小さく「淡島……」と呟くと同時に腕の力が少し緩む。
って、声を掛けたのって遠野衆の淡島ー!?
私は再び追いかけられた事を思い出し一瞬慌てたが、京妖怪じゃないという誤解が解けたのを思い出し、心を落ち着かせると私は腕の中で身体を捩り淡島へと顔を向けた。
と、淡島は腰に手を当てながらリクオ君の腕の中の私をじろじろと見回す。
何? 何?
「オレより胸ちっせーな」
は!?