第7章 巻き込まれた(?)GW
「ねえ、これってただのインディアン・ポーカーじゃん?」
巻さんは妖怪のイラストが描かれたカードを額にかざしながら、呆れた声を上げる。
そんな巻さんに、清継君は、納豆小僧のイラストが描かれたカードを額にかざしながら答えた。
「バカ言いたまえ! このカードはトランプに似ているが、『絵』と『妖怪パワー』を書いたものだよ! やっていくうちに自然と妖怪運が身につく、優れモノさ! ねぇ、島君!」
「は、はぁ……」
曖昧に頷きながら、島君は清継君の額にかざされたカードを見ている。
納豆小僧の横に書かれた『妖怪パワー』は1。最弱だ。
うーん。1だったら、妖怪運。あんまり上がらないだろうなぁ……
清継君が提案した修行は、原作にも載っていたインディアン・ポーカーに似たゲームの事だった。
インディアンポーカーとは、自分の額に一枚トランプカードを当て、自分以外のカードが全部見える状態で、自分のカードの大小で勝ち負けを決めるゲーム。
自分のカードが見えない状態であるがゆえに、自分が強いカードでか弱いカードかは、他のプレイヤーの様子を良く観察して判断しなければならない。
したがって、人間観察力、状況判断力などが問われる非常にシビアなゲームである。
親はジャンケンで決めるのだが、何故か毎回清継君が親となっていた。
親である清継君は、自信満々の表情で、私達の顔を見る。
そして、ニヤリと笑うと掛け声を掛けた。
「それじゃあ勝負だよ! せーの! そりゃー!! ははは、多分、ボクは最強の牛鬼だな!」
皆のカードが一斉に場へと出される。
あ。今回は10の窮鼠だ。
うわっ、嫌な思い出が蘇る。
肩の痛みを思い出し眉根を寄せる中、清継君が悲壮な声を上げた。
「うわあああっ! また納豆小僧ぉぅぅぅっ!!」
ご愁傷様です。
心の中で頭を抱える清継君に合掌していると、清継君の隣に座る島君が呆れたように奴良リクオ君へ声を掛けた。
「奴良……。お前、妖怪運あるなー。20連勝なんてフツーじゃねぇぜ」
そう。今回の勝者も13のぬらりひょんカードを引いた奴良リクオ君だった。
次点は、12の木魚達磨を引いたゆらちゃんだ。
しかしこのカードにはトランプのように記号が書かれて無いので、2人が同じ最強数字を引くと同時に勝者となる事も出来た。私の元には色々なカードが来た。だが、最強のカードはなかなか来なかった。