第7章 巻き込まれた(?)GW
そして冒頭の場面に戻る。
新幹線の座席は片方が6席通路を挟んでもう片方が4席だった。
6席の方には、奴良リクオ君、つららちゃん、カナちゃん、巻さん、鳥居さんが座り、4席の方には、清継君、島君、ゆらちゃん、そして私が座る。
と、隣の窓際の席に座ったゆらちゃんが、眉を寄せながら心配そうに声を掛けて来た。
「有永さん。怪我、大丈夫やったか?」
「うん。もう痛くない。大丈夫!」
私の言葉にホッと表情を緩ませる。
「良かった……」
と、清継君が耳ざとくこちらに顔を向け、会話に割って入って来た。
「有永さん! 君もこの前の日曜日、一番街に居たのかい!?」
「あ、うん」
何も考えずに頷くと突然身を乗り出して来た。
顔、近っっ!!!
「もしや、主と会ったんじゃないだろうね!」
清継君の主と言うと、奴良リクオ君が変身した夜の姿の事だ。
私は曖昧に頷く。
と、清継君は頭を抱えながら激しく横に振った。
「なぜ、転校生の君が主に会えて、ボクは会えないんだー!」
通路を挟み、清継君の近くに座っている奴良リクオ君は視線を逸らし、ははは、と乾いた笑い声を洩らす。
「妖怪運が無いんじゃないのー?」
同じく通路を挟んだ席に座っていた巻さんが、ニヤと笑いながら、からかいの言葉を口にする。
すると、清継君は頭を抱えた格好のまま、ハッと目を見開く。
そして、上着の内ポケットから、トランプの箱を取り出した。そして大きく腕を振り上げ、カードの入った箱を掲げた。
「良し! みんな。目的地に着くまでこれで妖怪修行だー!」
そんな清継君を皆はキョトンとした目で見つめた。
「「「「「は?」」」」」