第6章 鼠の反乱
連れて行かれたのは、奴良邸だった。
先日と同じ奴良リクオ君の隣部屋に寝かされた。
違う事と言えば、お母さんが枕元に付き添ってくれている事だ。
姿はいつの間にか、いつもの妖艶な美女の姿に戻っている。
手当は、鴆というお医者さんが傷口を消毒し、包帯を巻いてくれた。
原作に出てくるあの毒の羽根を持った妖怪の鴆さんだ。
黒鞄の代わりに竹筒の中から消毒薬とか出して来たので、思いっきり驚いた。
そして、お母さんは、治療が終わると、ずっと頭を撫ぜ続けてくれていた。
心配症過ぎるけど、私にとっては、すごく優しい大好きなお母さん。
撫ぜられるのが気持ち良くて、うつらうつらしながらも、私はお母さんに伝えた。
「お母さん、ありがとう。大好き……」
お母さんはすごく嬉しそうに微笑んだ。
そしてどのくらい眠っていただろうか。
私はドタバタと慌ただしい足音に目をゆっくりと開ける。
「んー……、なに?」
そして様々な声が飛び交っていた。
「大変だー! リクオ様が熱出したー!!」
「なにー! 熱だとー!? 鴆様だ! 鴆様を部屋から呼べー!」
……え? 奴良リクオ君が、熱!?
私はパチリと目を覚ました。