第6章 鼠の反乱
「ぬらりひょんの孫じゃな。ここまで連れて来てくれて感謝するぞえ」
「……ああ」
され? 夜リクオ君、なんでお母さんの事知ってる?
お母さんと知り合いだった?
疑問が浮かんで来るが、すぐに答えが頭に浮かんだ。
檻を破ったお母さんは人間の姿だったが、今は妖怪の姿だ。
しかし、2つの姿の中身は同じだと知っていると言う事は、多分、お母さんが両方の姿を夜リクオ君に見せた、って事。
そう考えを纏めていると、お母さんが低く唸り声を上げる。
「じゃが、何故舞香を巻き込んだのじゃ?事と次第によっては、許さぬぞ」
夜リクオ君は何も言わず、腕を組んだまま目を閉じた。
と、猫耳を頭に生やし片目に黒ブチ模様が入った青年が、奴良組の妖怪達をかきわけて前に進み出て来た。
「待ってくだせぇ!」
「なんじゃ。お主は?」
「へい。ワシは奴良組系『化猫組』当主、良太猫と申します。雷獣様。これだけは言わせて下せぇ!」
お母さんは静かな金の目で、良太猫を見つめる。
「若は悪くないんでさぁ。原因は本当に一番街を預かっていたワシらなんです!」
その言葉に、そう言えば、と原作を思い出す。
一番街を任されていたのは、化猫達だ。
それを、陰のボスの指示で窮鼠が乗っ取ったのだ。
ん? 陰のボスって誰だったっけ?
確か……GWに敵として出て来る……牛鬼
私はチラリと夜リクオ君を見る。
夜リクオ君は、黙って良太猫とお母さんの会話を聞いているようだ。
今度は牛鬼と戦い、次に四国、そして羽衣狐と戦って行く。
血みどろになって……
私はその姿を想像すると、あまりの痛々しさに思わず眉を顰めてしまった。
と、私の視線に気付いたのか、夜リクオ君は私に視線を向けた。
そして歩を踏み出すと私の方に歩み寄って来た。
「怪我、平気かい?」
へ?
何故かその手が私にさし伸ばされた。