第6章 鼠の反乱
「何者だぁ!? テメー! ここは、オレのシマだぞ! 勝手に入ってくんじゃねぇ!」
「……」
だが、何も言わない夜リクオ君の前に猫耳を頭に付けた男が進み出て、金髪ホストに怒鳴る。
「このお方は、奴良組3代目奴良リクオ様だ! それにここは奴良組のモンだ! 勝手に自分のもんにするな!」
「何!? ハッ、あのクソガキが、ずいぶん立派な姿になったじゃねぇか……。奴良リクオ。約束の回状は廻したんだろうなぁ?」
「……回状ってのは、これのことかい?」
夜リクオ君は、懐から何か書状のようなものを出す。そして、おもむろにビリビリッと細切れに破いていった。
それを唖然と見る金髪ホスト。
すると、後ろの方で、メキバキッと音がした。
何? と後ろを振り向くとそこには、華奢な腕で軽々と鉄の格子を曲げ中に入って来る物凄い美女がいた。
って、お母さん!?!?
吃驚して何も言えず、ただ、口をパクパクし目を丸くしていると、お母さんは私に近付いて手を差し伸べて来た。
「ほんに厄介な事に巻き込まれおったのう。じゃが、妾が来たからには安心じゃ。舞香。帰るぞえ?」
「え? だって、お母さん?」
頭の中が混乱していて、何て言っていいか判らない。
なんでお母さん、ここに居るの?
それに、なんで鉄なんて曲げれるの?
なんで? なんで?
疑問でぐるぐるする私の腕を掴むと立ち上がらせたお母さんは、ゆらちゃんの方にも視線を移した。
「そこの陰陽師。ここは戦場となるが、巻き込まれたくなかったら妾について参れ」
「あ、あんた、妖怪なんか!?」
「どうでも良いじゃろう」
そう言い放つと、私の腕を掴んだまま、檻の外へと歩きだした。