第6章 鼠の反乱
ここからは、私と言うイレギュラーが加わっているにも関わらず、原作通り物事が進んだ。
そう。奴良家でのゆらちゃんの妖怪講座に始まり、花開院ゆらちゃんを先頭に奴良家の大捜索だ。
皆が立ち上がった時、私は何も言わず、後ろからトテトテとついて行った。
心の中で、奴良リクオ君に、勝手に散策してごめんなさい、と謝りながら。
そして当り前のように屋敷内には妖怪はおらず、花開院ゆらちゃんは端から見ても判るくらいガックリしていた。
あまりにもしょんぼりしていたので、何か言葉を掛けようとするとぬらりひょんさんが突然部屋に現れた。
奴良リクオ君はの顔がムンクの叫び声の絵のようになっていたが、ぬらりひょんさんは気にせず、私達に不味い飴をくれた。
私は眉を顰めつつ不味い飴を口の中で転がしながらも考える。
こうも原作と現実が一致していると、気味が悪かった。
まあ、『ぬらりひょんの孫』の世界に来てしまったのだから仕方が無いと言えば仕方ないけど、そのピタリと当たる現実での出来事。
原作ってある意味預言書……?
そう思っていると、いやに頭の長い好々爺姿のぬらりひょんさんから突然話しかけられた。
「おう、あんたは、この前泊った子じゃな」
私は吃驚しながらも、それに頷き、帰りの時の醜態を思い出すと慌てて姿勢を正し、ペコリと頭を下げた。
「あ、はい。この前は、本当にお世話になりました! そして母が失礼な態度を取ってすいませんでした!」
するとぬらりひょんさんは、クッカッカッと軽快に笑い声を上げた。
「んなこたぁ、気にせんでいいわい。あの後、あんたの家から十分な礼を貰ったしのう」
「は、はい……」
ん? お礼?
その言葉に帰り際、お父さんが言った言葉を思い出した。
そう言えば、自分に任せとけって……
きっとお父さんがあの言葉通り、後日、お礼の品を持って行ってくれたのだろう。
流石、お父さん。出来る男は違う!
お父さん、ありがとう!と心の中でお父さんに感謝を捧げていると、隣に座っているカナちゃんがつんつんと腕をつついてきた。
「カナちゃん? どしたの?」
「……ね、泊ったって…?」
その言葉に、ドッキーンッと心臓が大きく跳ねた。