第6章 鼠の反乱
不思議に思っているといつの間にか清継君は奴良リクオ君に、訪問する時間まで取りつけていた。
奴良リクオ君の顔は笑っているが、口元がひくついている。
無理矢理笑っている様子だ。
えーっと、これってがんばれーって言う場面かな?
頭の中で、日の丸印の旗を振りながら、奴良リクオ君を見る。
すると、何故かツイッと軽く視線を逸らされた。
!? 私、なにかした!?
そして私は自宅に帰ると、ベッドの上で寝ころびながら、原作を思い出す。
確か、奴良家に訪問した帰り、ゆらちゃんとカナちゃんが旧鼠に襲われる場面がある。
カナちゃんは友達だし、鼠がたくさん服の中に入るのは、可哀想だ。
うん。私でも嫌だ。
想像しただけでも、ゾワッとする。
ゆらちゃんだけなら、きっと式神を使って反対に窮鼠を壊滅出来る。
油断しなければ、だけど……
うん。きっと大丈夫!
帰りはカナちゃんを誘ってショッピングに行こう。
お金は、前借りだ!
ちらりとレシートまで妖怪に飛ばしてしまったゆらちゃんの姿を思い浮かべつつ、私は無意識に胸の上で拳をぎゅっと握った。
そして日曜日。
浮世絵町駅に待っていた清継君と島君の2人と合流し、奴良家の近くの駅で降りると、今度はそこでカナちゃんとゆらちゃんの2人と合流した。
そして、5人揃って奴良家の門を叩いた。