第5章 恐怖の人形とご対面
うわあ……もしかして、何か起こってた!?
心臓がドキドキと早鐘を打ち出す。
そんなリクオ君に清継君が怒りを顕わにした。
「奴良君! 貴重な資料にタックルかまさないでくれたまえ!」
「いやあ、なんだかこの人形が可哀そうだったから……」
そう言いつつも、奴良リクオ君は『ぬ』の字を散りばめたハンカチをズボンのポケットにしまう。
ハンカチを取り出してた、って事は、何か拭いてた?
……
もしかして、あの人形……血の涙とか流してた!?
ゾクッと背筋に冷たいものが走る。
怖いっ!
私は、霊符と数珠が入った学生カバンを胸元でぎゅっと抱き締めた。
心臓の鼓動は早いままだ。
こわ、怖い! これからどうなるんだっけ?
えっと、えっと
恐怖の為か、原作がなかなか思い出せない。
そんな私に構わず、清継君は奴良リクオ君に「まったく……、名誉会員から外してしまうよ?」と言い放ち、また日記の続きを読み始めた。
「2月24日。彼氏に言って遠くの山に捨てて来て貰った。その日の夜……」
怖い。怖いけど、呪いの人形から視線が外せない。
日記の朗読は続く。
その中、目の前の呪いの人形は変容を始めた。