第5章 恐怖の人形とご対面
「えっと、そうかもしれない。多分……」
問いにそう返すと、奴良リクオ君とカナちゃんは顔を見合わせ揃って苦笑いを零した。
ご愁傷様、って感じだ。
多分、自分達もそんな感じなので、察してくれてるらしい。
サンクスです。カナちゃん。奴良リクオ君。
それからしばらくして、清継君と島君、そして花開院ゆらちゃんの3人と合流し、皆で清継君の邸宅へと向かった。
清継君の自宅は、原作で描かれている通り、すごい豪邸だった。
別荘を持っているのも頷ける。
清継君に先導されながら広い廊下を歩く。
あちらこちらに高そうな花瓶や絵画がかかっている。
はぁー……お金ってあるところにはあるんだなぁ……
しばらく歩くと、重厚な木目のついた扉の前に辿り着いた。それを清継君は開く。
と、中は博物館のようだった。様々な壷や鎧。そして時計みたいなものが棚の上に並べられている。
そして中央には大きな透明のケースが置かれていて、中には年代物の巻き物や茶碗がズラリッと置かれていた。
「はー……すごい」
そう呟きを洩らすと先頭に立っていた清継君が得意げに口を開いた。
「ふふふ……ここはボクのプライベート資料室さ」
「と言う事は全部清継君のものって事っすね!」
「いや、今は大学教授でもある祖父のものも置いてあるが、そのうちボクの資料で埋め尽くす予定さ」
ほほう。と、言う事はこのガラスケースに入ってる年代物の巻き物や茶碗は、お祖父さんのものということなんだねー
と言う事は歴史を専攻してるのかな?
て、いうか、茶碗が渋い。
私は妙な感想を持ちつつ茶道で使われていそうな茶色の茶碗に魅入った。
そんな私に気付いた清継君が、サラリと言い放った。
「有永君。見るのは構わないが、ケースに涎は垂らさないでくれたまえよ」
んな!?
思わず袖で口元を覆いつつ反論を口にしようとした。
「よだれにゃんて……!」
あうあうあう……にゃんって何!にゃんって!!
私は黙り込むと、恥ずかしさにその場で項垂れた。