第5章 恐怖の人形とご対面
放課後になり、カナちゃん達と一緒に浮世絵町駅まで帰ると、私は電車に乗った友達2人を見送った。
と、隣で一緒に友達を見送ったカナちゃんが不思議そうに小首を傾げる。
「舞香ちゃん?もうすぐ帰りの電車が出るのにあっちのホームに行かなくていいの?」
そう。カナちゃん達とは反対側なので、帰りのホームも違う。
私はその言葉に頷いた。
「うん。ちょっと用事がね。でもカナちゃんもさっきの電車に乗らなくて良かった?」
「私も舞香ちゃんと一緒! ……ちょっと、ね……」
途中で何か思い出したらしく、乾いた笑い声を洩らしげんなりした顔になる。
「そうなんだ」と相槌を打つが、げんなりした顔が気にかかる。
どうしたんだろ?
と、ふと原作を思い出した。
確かカナちゃんは、大の怖がり。
原作では、リクオ君と一緒に歩いている所を清継君に発見されて、否応なしに呪いの人形検証に参加するようになったんだっけ?
どうしてリクオ君と一緒に歩いていたかは謎だけど。
でも、怖がりなのに呪いの人形検証に巻き込まれるなんて、カナちゃんも気の毒かもしれない。
頑張れ、カナちゃん。
隣のカナちゃんを見ながら心の中でエールを送っていると、カナちゃんは踵を返した。
「舞香ちゃん。そこまで一緒に行こっ!」
「うん」
私達は揃って駅から出る。すると、向こうから奴良リクオ君が「カナちゃん!」と手を上げて駆け寄って来た。
後ろには氷麗ちゃんがついてきている。
奴良リクオ君は、私とカナちゃんが並んで立っているのを見ると目を丸くした。
「有永さん!? 有永さんも清継君家に行くの!?」
「え?そうなの?」
リクオ君の言葉にカナちゃんも驚いたように私を見る。
私は素直に頷いた。
そんな私にリクオ君はサラリと問いかける。
「じゃあ、有永さんも清十字怪奇探偵団に入ったんだ」
「え?」
清十字怪奇探偵団?
それって、なんだったっけ?
私は頭の中の原作の知識を探る。
あ。確か、清継君が作る部の名前だ。妖怪の研究を目的にする部、だったはず。
えっと、私、入るなんて一言も言ってないんだけど、「マイファミリー」って声を掛けてきたから、清継君の中では、もう部員確定されてる?
数珠と霊符を持っていると言えども、なんだか複雑な気持ちだ。