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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第5章 恐怖の人形とご対面


お昼休み。私はトイレを済ますとカナちゃん達と合流すべく、2組の教室を目指す。
と、3組の教室から出て来た清継君にバッタリ遭遇してしまった。

「やあ! マイファミリー! 良い所で会ったね!」

大袈裟に両手を広げ、ハイテンションで声を掛けて来る清継君。
私は何故、こんな風に声を掛けられるのか判らず、ポカンと清継君を見上げた。
実は清継君。中学1年生なのに身長が高い。
そんな私に構わず、清継君は言葉を続けた。

「実は今日、ボクが手に入れた呪いの人形を使って、妖怪は必ず存在する事を証明するのさ。もちろん君も参加するよね!」

その言葉を聞いたとたん、私の頭の中に原作の『呪いの人形事件』が駆け廻った。

ここは『ぬらりひょんの孫』の世界。
確実に呪いの人形は存在する!
先日追いかけて来た不気味なお婆さん妖怪のように。
ん? でも、昨日通販で申し込んだ数珠と霊符が来たから、もしかして大丈夫かもしれない。
もし、襲われてもバシーンッと弾いてくれるかも。
よしっ、霊符と数珠の効き目を試す為にも、行こう!

私は、清継君に頷き返した。

「ハッハッハッ。流石は同志だ! 帰りに駅に集合だからね!」

そう言うと清継君は、大きく手を振りながらどこかへ去って行った。
私は教室に戻りながら、原作の事をつらつらと考える。

今、呪いの人形事件とすれば、ゴールデンウィークには捩目山に妖怪修行。
四国妖怪との戦い。邪魅事件。
夏休みには羽衣狐との戦いと目白押しだ。
奴良リクオ君も大変だ。

そう思いつつカナちゃん達の待っている教室に戻ると、奴良リクオ君は教壇の上を雑巾で拭いていた。
花瓶に活けてあった花の花粉が教壇の上に落ちて汚かったみたいだ。
マメだなぁ、と思っていると、私の視線を感じたのか手元から顔を上げ視線をこちらに向けた。
キョトンとする奴良リクオ君。
このまま視線を逸らすと感じが悪い。
私は思い切って話しかける事にした。教壇に近付くと口を開く。

「奴良君。休み時間なのに拭き掃除してるんだ。偉いよ」
「そんな。大した事じゃないよ。これも立派な人間になる為だしね!」
「立派な人間……」
「うん。ボクそれを目指してるんだ。妖怪……じゃなく、悪い奴とは真逆だからさ」
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