第13章 わくわく京都への旅
ちょ、ちょっ!?
「は、離して! リクオくんーっ!」
身体を動かせ暴れたがその腕は一向に外れない。
逆に何故か抱き締める力が強まった。
そんな私の後ろで和やかな会話が聞こえて来る。
ぬらりひょんさんとお父さんだ。
「こりゃ、有永さんとこの」
「こんにちは、奴良のおじいさん。この前はお邪魔してすいません」
「いやいや、あんただったらいつでも大歓迎じゃ。しかしあんたがここに出ばって来たとなると、何かあったんじゃな?」
「ええ、まあ。でも無事でしたので」
「かっかっかっ、そりゃ、良かったわい。しっかし、あんたは奥さんのように2人の仲を反対せんのかい?」
「ははは、反対する理由なんてないですよ。お孫さんに大事にして貰えてるようですからね」
はっはっはっ、と2人は和やかに笑う。
そして、2つの視線がこちらに向いたのを感じた。
うわわっ、お父さんとぬらりひょんさんに見られてるーっ!
なんだか、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。
「はーなーしーてーっ!」
両手を伸ばして突っぱねようとしたが、腕ごと抱き込まれていて動かせない!
いーやーっ、恥ずかしい―っっ!
と、周りに次々と着地する音が続き、気配が増した。
「おいおいリクオぉ、見せつけてくれんじゃねぇか」
「リクオのクセに恋人とは羨ましいギャバー」
………、なっ!! 恋人ーーっ!?
「は、離して! 離して! リクオくんーっ!」
「イヤだ」
再び離すようお願いするが、何故かキッパリと拒絶された。
なぜにーーっ!?
じたばたしていると、奴良組の誰が呟いたのか判らないけど男の人の声で「若……」と少し呆れたような呟きが耳に入って来た。
誰だか判らないけど、リクオ君の行動止めてーっ!
心の中で私は悲鳴を上げる。
と、ぬらりひょんさんが口を開いた。
「リクオ。そのままで良いから聞くんじゃ。羽衣狐の依り代だった女は、鯉伴の昔の妻、山吹乙女じゃった……」
夜リクオ君の身体がピクリと動く。
「消えたかと思うとったが、晴明の反魂の術で生き返ったらしい。そして乙女さんはリクオに話しがあるそうじゃ」