第13章 わくわく京都への旅
と、途中で鬼童丸が呆れを含んだような声で、茨木童子に再び声を掛けた。
「おい、茨木童子。門が閉じるぞ!」
茨木童子はちっと舌打ちすると、私の方に鋭い視線を向け、口を開いた。
「女。オレが帰るまで待っていろぉ」
「やだっ!」
咄嗟に私の口から言葉が飛び出す。
なんで私が帰りを待つことになるのだろう?
真っ平ごめんだ。
速攻で忘れたい!
地獄の門の向こうに飛び去る茨木童子に私は小さくべーっと舌を出した。
夜リクオ君は茨木童子が姿を消すのを確認すると、くるりとこちらへ振り向く。
「舞香。大丈夫だったかい?」
「ん? あー、うん。大丈夫、大丈夫」
こくこく頷くと夜リクオ君は軽く息を付き、お父さんの方へ視線を移動させた。
「あんたは確か……、舞香の親父さん?」
「やあ、奴良君。頑張ったみたいだけどボロボロだね。早く手当を受けなさい」
その言葉に私はお父さんの能力を思い出した。
「お父さん! そう言えば傷とか治癒できるんだよね! ね、ね、リクオ君も治して!! お願い! 私の事もぱぱって治したんだよね!?」
「どういう事だ?」
私の言葉に眉を顰める夜リクオ君。
そんなリクオ君に説明しようと口を開く
「あ、お父さんって実は……」
が、お父さんの手がそっと私の口を塞いだ。
「むん?」
「こら舞香。簡単に言ってはいけないよ」
「むむ……? ぷはっ、え? でもお母さんにバレなきゃいいんでしょ?」
「うん、でもね、ボクは緊急を要する時以外は使わないと決めているんだよ」
「え!? そなの!?」
お父さんの深い事情を知って、軽々しく頼んだ自分が恥ずかしくなる。