第13章 わくわく京都への旅
再び前を向くとそこには、顔に板を張り付けた茨木童子が居た。
い、茨木童子ー!? なんでここに現れてんの!?
思わず後じさるとお父さんが、私を庇うように前に出た。
「お父さん」
「大丈夫だよ」
お父さんは私に向かって笑顔を向ける。
いやいやいや、待って待って。大丈夫じゃないよ! お父さん!
「あれって妖怪だよ!? 強かったよ!?」
私はゆらちゃんの家で襲われた時の事を思い出しながら、茨木童子を指さした。
「女ぁ。一緒に行くぞ」
茨木童子はお父さんの存在を無視し、私に話しかけて来た。
って、一緒に行くって……、行先はやっぱ地獄!?
無理無理無理。
「そこ漫画無さそうだから、無理っ!」
私はお父さんの服を掴みながら、茨木童子にお断りを入れる。
と、茨木童子は顔を顰めた。
「はぁああ? なんだぁ? そのまんがってやつぁあ?」
「乙女のバイブル!」
「何か違うような気がするよ。舞香」
私の言葉にさりげにお父さんが突っ込む。
ごめんっ! そこは見逃してっ! お父さん!
「オレが傍に置いてやるんだ。それだけでも有難いだろうが」
傍に置く? 何言ってるのか、良く判らない。
「全然、全く有難みなんかない! それにっ、傍に居るならリクオ君の方がいい!」
「はぁああ? 鵺に一太刀も入れられなかった、あのひ弱な奴かぁあ?」
と、銀色の煌めきが突然上から降って来た。
それはあちらこちら傷付いたボロボロの夜リクオ君だった。
夜リクオ君は、私とお父さんの前に立つ。
「おい……、こいつに何してやがる」
うおえ!? リクオ君!?