第13章 わくわく京都への旅
リクオ君が斬られる!
いやだ!
数メートル程先に佇み上を見上げていた氷麗ちゃんは、夜リクオ君を救うべくその場を駆け出した。
私も!
リクオ君の傍に駆けつけたくてお父さんの腕の中から抜け出し、片足を床に着けた。
と、斬られそうになった夜リクオ君の前にセーラー服を着た長い黒髪の少女が、庇うように立ち塞がる。
声を発する暇も無く、その少女は夜リクオ君の代わりに晴明から袈裟懸けに斬られた。
斬られた箇所から、血飛沫が舞う。
え?
あれって……
その場で目を瞠りながらも原作の知識を総動員する。
確か、確か、羽衣狐の抜けた本来の身体の持ち主、山吹乙女!
と、負傷した山吹乙女を抱きかかえ、その山吹乙女に強い口調で何かを問うている夜リクオ君に、晴明が再び不気味な刀を振り上げる。
「リクオ君! だめっ! 後ろ!」
思わず腕を伸ばすが晴明の動きは止まらない。
迫りくる刃に気付いた夜リクオ君が目を瞠る。
が、あと少しで刃が夜リクオ君に届くという所で、晴明の腕がドロリと溶けた。
原作通りだと、身体が現世に馴染んでないから、崩壊した?
晴明の動きが止まっている間に、夜リクオ君の元へイタクや淡島、そして氷麗ちゃんが集う。
晴明は何か一人ごちると、二本の指を上げる仕草をした。
それと共に巨大な門のようなものが轟音を上げ城の中央に現れた。
そう、何か揺らめく炎が鬼の顔を形取り、大きく開けた口の中は異様な空気が渦巻いている。
と、お父さんが苦々し気に口を開いた。
「地獄の釜の蓋以外の場所を開くとは……、由々しき問題だね……」
「え? 地獄の釜?」
思わず後ろを振り向いた私の頭上に、晴明の声が重々しく降る。
「千年間ご苦労だった……。鬼童丸……、茨木童子。そして京妖怪達よ。地獄へゆくぞ。ついてこい」
その声が聞こえたのと同時に、今度は近くに何かが着地するような音がした。
ん?