第13章 わくわく京都への旅
遥か上空では緩やかな白い髪を風に靡かせながら刀みたいなのを持って浮かぶ全裸の男が居た。
ぜ、ぜ、全裸ぁーっ!?
原作通りだと多分あの男が晴明なんだろうけど、実際全裸を見ると思わず目が点になってしまう。
「せめて下履いてっ!」
思わず突っ込むとふいにお父さんから頭を撫ぜられた。
ハッ!? そう言えばいつの間に全裸の晴明が出現したのか気になるけど、お父さんの事も気になる!
「お父さんっ!」
「なんだい?」
「なんでここに居るの!? ここ京都だよ!? 東京じゃないよ!?」
再び問うとお父さんは困ったように笑った。
「ボクの所為で舞香が死ぬところだったからね。飛んで来たんだよ」
「は? え? しぬ?」
え? え? なんで?
「私ピンピンしてるよ? どこも痛くないしっ!」
そう言うとお父さんは柔らかく笑った。
「そうだね。身体の損傷部分はきちんと元に戻したからね。吐き気とか無いかい?」
は? え? 損傷部分を戻す?
「そ、それって治癒能力ーっ!? お父さん、そんな力持ってたのー!?」
「緊急事態だったからね。芙蓉には内緒だよ?」
「え?」
どゆ事?
はて? と首を傾げると、にこっと微笑まれた。
お父さんって前世僧侶だったんだよね?
だから結界を張る能力があるっていうのは何となく納得できる気がするけど、治癒能力っていくら僧侶でも持ってない。
現世に生まれた時、血筋か何かでその力を持ったっていう方が納得がいく。
ん? と言う事は……
「ね、お父さん。私も治癒能力持ってんの!?」
「ははは。どうだろうね」
にこにこと笑うお父さん。
おぉ!? どうだろうね、と言う事は可能性はあるって事だよね!
「ね、ね! どうやるの!? 教えて! お父さんっ!!」
目を煌めかせて詰め寄っていると、氷麗ちゃんの大きな悲鳴のような叫び声が聞こえて来た。
「リクオ様ァア!!」
え!? リクオ君!?
慌てて上の方を見上げる。
半壊した梁の上から晴明に刃を振り下ろす夜リクオ君が居た。
晴明はその刃を指先一つで止めると、刃はあっという間に無数のヒビが入り、霧散した。
そして、持っていた刀を晴明は夜リクオ君に振り上げる。
「リクオ君!!!」