第13章 わくわく京都への旅
そして振り向きざま振り下ろされた刃はイタクを襲う。
「くっ」
ガキンッと武器同士がぶつかる音が響き渡る。
イタクは素早く背中から武器を取り出し、それで受け止めたのだ。
「イタクッ!」
夜リクオ君の慌てたような呼びかけに、「大丈夫だ……っ!」と言い放ち、イタクは力を込めて鬼童丸の刃を押し返した。
鬼童丸は後ろに飛びずさり距離を取ると夜リクオ君の方に視線を向けた。
「そうか……。父親の業を身につけたか……。あの業はあなどれぬ。しかしまだ未熟なようだな……」
「……」
睨み返す夜リクオ君に、鬼童丸は再び刀を構え更に黒いものを身体から揺らめかせる。
「未熟なうちにワシの本気の畏れで消してくれよう」
と、ギンッと気迫を込めたと思うと黒く揺らめくものが一斉に夜リクオ君に向かった。
「リクオ様ぁっ!」
氷麗ちゃんが悲鳴を上げ駆け寄ろうと身体を動かす。
と、横から傘を被った長髪のお坊さんがその肩を掴み止めた。
「拙僧が行こう……」
「黒……!」
黒こと黒田坊は、僧衣をはためかせて夜リクオ君の元へ向かった。
凄まじい剣戟が夜リクオ君を襲っている。
それをなんとか捌いている様子だったが、徐々に押し負けそうになっていた。
その時、黒田坊が僧衣の下から無数の武器を飛び出させ、夜リクオ君を庇う。
それを見た氷麗ちゃんは、ほっと表情を緩ませた。
その時、横から一匹の鬼が氷麗ちゃんに向かって棍棒を振り下ろして来た。
「だめっ!」
私は思わず後ろから飛びつき、氷麗ちゃんに覆い被さる。
と同時に後ろ頭に凄まじい衝撃が走った。
「有永っ!?」
目の前が真っ白になる。
「ちょっと、有永っ!? なんで私を庇うのよ!」
なんで庇ってしまったのか、私も良く判らない。
氷麗ちゃんの声が遠くなって行く。
「………!!」
最後には何を言っているのか判らなくなり、ぷつりと意識が途切れた。