第13章 わくわく京都への旅
「いーやーっ!! 私、戦闘素人ーーっっ!!!」
すると夜リクオ君は私の両肩に手を置き、そのまま私の身体を横に居る氷麗ちゃんに渡した。
「ん?」
「リクオ様!?」
「舞香は戦えねぇんだ。氷麗、頼むぜ……」
ぐるぐる目を大きく見開き驚く氷麗ちゃんにそう言うと、左手に持っていた刀を右手に持ち替え、チャキッと鍔を鳴らせた。
そんな夜リクオ君に鬼童丸は鬼が群がる羅城門の前に立ち、黒い靄を身体から立ち上らせながら口を開いた。
「弐條城は我ら京妖怪の積年の怨念が生んだ幻の城……。かつて我らの住処だった羅城門で貴様らを葬ってやろう」
その言葉が終わると共にその場を強く蹴ると、後ろに居る大量の鬼達と共にこちらへ襲って来た。
「うわわわっ! 来た、いっぱい来たよ!?」
「有永。仕方無いから守ってあげる。私から離れないで!」
氷麗ちゃんは私を背中に庇うと口から吹雪を吹き出した。
すると襲い掛かって来た2匹の鬼の身体がカキンッと凍る。
しかし今度は斜め横から3匹一斉に襲い掛かって来た。
「風声鶴麗ーっ!」
氷麗ちゃんの放った冷気はこの間のように3匹を瞬く間に氷柱へと変えた。
しかし、数メートル先からまたこちらにやって来る鬼が居る。
「多いわね……。ちょっと有永。四国の時みたいに雷を操れないの?」
氷麗ちゃんは氷で薙刀を作ると、後ろに居る私に聞いて来た。
私はその問いにぶんぶんと首を横に振る。
「え、えぇえ!? あれっていつの間にか出てて、操り方知らないっ!!」
「もうっ! 役に立たないんだからっ! えいっ!」
接近して来た鬼を氷麗ちゃんは薙刀で薙ぎ払う。
と、少し離れた場所から夜リクオ君の声が聞こえて来た。
「イタク! もう一度纏いだ!」
「……。命令するな。リクオ」
「リクオぉ! 今度はオレが協力してやるって!」
夜リクオ君はいつの間にか離れて戦っていたみたいだ。
イタクと淡島は夜リクオ君の背中を守るように並んで鬼と戦っている。
イタクは淡島の言葉に眉を寄せると「オレがやる……」と呟き、身体から黒いものを出した。
それは揺らめきながらリクオ君の背中に吸い込まれると同時に、イタクの身体も輪郭が揺らめき黒いものと一体となって行く。
と、凄い速さで迫って来た鬼童丸が2人を繋ぐ黒い靄を一閃した。