第13章 わくわく京都への旅
リクオ君の右腕を思いっきり握ってるーっっ!!
自分からひっつくなんて、は、恥ずかしいっ、恥ずかしすぎるーーっ!!
「いや、違っ、これは、そのっ、すがりついてなんて無くて!」
両手を横に振るが鬼童丸はそんな私を厳しい目で見、呟いた。
「……雷獣の娘よ。その男に誑かされたか……」
「はい?」
誑かされた?
…………。その言葉に何故か頭の中にちゃらいホスト姿の夜リクオ君の姿がポンッと浮かんだ。
んー……。格好良いけど、心はぐらつかない。
どちらかと言えば、昼リクオ君の晴れやかな笑顔に惹かれる。
……ん?
「あ! 私って昼リクオ君に誑かされてたんだ!」
「は?」
「私は夜リクオ君に誑かされてないよ!」
夜リクオ君の腕の中で胸を張って言うが、鬼童丸は静かな声で「同じ事だ」と言い放つ。
そして鬼童丸は、右手に持った刀をこちらに向けると冷たい視線を放った。
「従わぬならば用は無い。ここで死ね……。いでよ羅城門」
と、突然周りに白い霧が発生した。
周りが白く塗り潰されて行く。
木目の廊下も壁も障子も皆、見えなくなった。
でも、周りの奴良組の妖怪達や遠野の妖怪の姿はくっきり見える。
「何? どういう事?」
普通は人の姿は見えない。
濃い霧は全部を覆いつくすから。
ざわつく妖怪達。
が、突然妖怪達のうちの一匹が「おい、見ろ!」と声を張り上げた。
ん? ん?
一面の白の世界に視線を巡らせる。
すると前方に大きな黒いものがゆらりと立ち上り、徐々に何かの形を形作って行く。
大きな、大きな二重建ての門。
太い柱は朱色をしている。
だが、外観は長い年月風雨に晒されたように荒れていた。
そして良く見るとその門のあちらこちらに2本の角を生やした鬼達が居た。
それを確認したとたん、サーッと血の気が引く。
えっと、えっと、もしかして、もしかして今から……戦闘ーーっ!?
「いーやーっ!! 私、戦闘素人ーーっっ!!!」