第13章 わくわく京都への旅
「てめぇが言う理想世界ってぇのは、闇が人の上に立つ事だろ……? オレも妖怪だ。血がうずく」
……、なっ!
「ほ、本気で言ってんのー!? リクオくーんっ!?」
「ばーか」
驚く私に呆れたような口調で応えると、リクオ君は鬼童丸の方に視線を戻す。
「だが……、てめぇらみたいに人間を踏みつけて上に立とうとは思わねぇ。上に立つなら畏れを魅せてやらぁ」
畏れを魅せつける?
うーん。自身のカリスマで人を魅せ率いるって事かな?
ふむ。それなら……「清継君には通用してるよね。うんうん」
妖怪の主を一心に思う清継君を思い浮かべる。
と、左手に持っていた刀の柄を額にコンとぶつけられた。
地味に痛い。
「何すんの! リクオ君!!」
がうっと噛みつくが、真顔で「黙ってねぇとキスするぜ」とのたまわれ、その言葉に思わず心臓が強く飛び跳ねた。
「ううっ……」
夜リクオ君の右腕にしがみつき、その腕に顔を伏せる。
ドキドキが収まらない。
落ち着けっ! 落ち着けー! まいハートッ!!
と耳に鬼童丸の声が聞こえて来た。
「フン……。奴に似ているな……。流石親子と言う事か……」
「なに?」
「奴は京妖怪と江戸妖怪の違いをお前と同じように言った。花火という例えを使ってな……」
ん? 鬼童丸が言ってるのもしかしてリクオ君のお父さん、鯉伴さんの事ー!?
ドキドキが一瞬で止まり、思わず顔を上げ鬼童丸を見る。
こんな時なのに『ぬら孫』ファンの血が勝ったのだ。
「所詮我らは相容れぬ存在。娘よ」
へ?
「私?」
鬼童丸を見ながら自分を指さすと、鬼童丸はいつの間にか顔半分を異形の鬼の顔へと変化させ鋭い視線を投げかけて来た。
「お前はぬらりひょんを厭う雷獣の娘。言わば我らの同胞だ。何故その男にすがりつく?」
「同胞……?? すがり、……」
そう言われ、はっと自分の体勢を自覚した。
「うわわわっ!?」