第13章 わくわく京都への旅
驚愕に目を見開いている私を尻目に、夜リクオ君は鬼童丸に向かって口を開いた。
「そっちに羽衣狐が居るのか……。どけ、おっさん」
「断る。聞くが貴様は我らの宿願を阻む大儀があるのか?」
大儀……ってなんだっけ?
大義名分って聞いた事あるけど、要するに大切な目的って事かな?
ふむ。確かリクオ君の目的は人に仇、「うわっ!?」
突然城全体が激しく横揺れする。
夜リクオ君に抱き込まれてなければ、立っていられないほどの揺れだった。
周りでも奴良組の妖怪達の悲鳴が上がる。
数十秒くらい揺れは続き、やっと収まった。
無意識に夜リクオ君の右腕にしがみ付いたまま、ほっと息を付くと鬼童丸が再び口を開いた。
「答えられまい。所詮私怨……。私怨にて我らの宿願を阻むとは愚かな事だ」
「ちょっ、リクオ君は私怨じゃ……!」
反論しようとすると、それを止めるように私を抱き締める腕に力が籠った。
こんな時なのに、何故か心臓がバクバクと騒ぎ出す。
なんだか嬉しいような恥ずかしいような変な気持ちになった。
ううっ、そう言えばいつまで抱き込んでるの! リクオ君っ!!
うー、うー、と小さく唸っていると、鬼童丸はまた言葉を続けた。
「貴様も妖ならば真の闇の主『鵺』の復活を言祝ぐべきだ……。そして我らの下僕となり理想世界の建設にその身を捧げよ」
と、私の頭の上で夜リクオ君が、くくっと喉を鳴らした。
ん?
どうしたのかと首を捻り夜リクオ君を見上げると、夜リクオ君は不敵な笑みを浮かべながら鬼童丸を見据えていた。
「理想世界か……。面白ぇ……」
え?