第13章 わくわく京都への旅
「リクオ様ーーっ!!」
「リクオぉおー!」
「若ーーっ!!」
皆の叫び声が聞こえる中、ガキーンッと大きな音が響き渡った。
一瞬大きな火花が散り、それが収まると刀で斬りつけて来た男と私を包む紫のオーラのようなものが目に入って来た。
私を包む紫のオーラのようなものは、男の攻撃を受け切っている。
前髪を刈上げ肩までの長さの白髪がゆらりと揺蕩う。
男は太い眉を顰め「むう……」と呟き、バッと後方に飛び退き私達から距離を取った。
「娘よ……。もしや雷獣とあの僧侶の子か?」
「え?」
「その紫紺の結界。僧侶に守られているならば納得出来る。雷獣もそうだったからな……」
守られている、と言う言葉に私は行く前にお父さんから貰った水晶のブレスレットを思い出した。
「これが守ってくれてる?」
私は右手首に付けている水晶のブレスレットを見る。
でもそれならなんで茨木童子の攻撃を弾いてくれなかったんだろう?
「うーん?」
首を捻っていると男は「まあいい」と言い、夜リクオ君に鋭い視線を移す。
「ぬらりひょんの孫よ。また会ったな」
「……お前は遠野で会った京妖怪……」
夜リクオ君は左手に持っている刀を強く握り込む。
ん? リクオ君が遠野で会う京妖怪と言えば……「鬼童丸だよね!」
そうそう、こんなおっさん妖怪だった。うんうん。
自分の原作の記憶に頷いていると、夜リクオ君が「舞香、知ってんのかい?」と訝し気な表情をしながら問いかけて来た。
うわわっ、ま、拙い! 思わず声に出してたー!!
「し、し、知らないっ!」
慌ててぶんぶんと首を振るも怪訝そうな目は変わらない。
うわーっ、拙い事言っちゃったよ! どうしよ、どうしよ!
心の中で焦りに焦っていると、鬼童丸が口を開いた。
「ふむ……、雷獣にでも聞いたか……。だが、雷獣の娘だとしても我らの宿願を阻むならば容赦せぬ」
鬼童丸の身体の周りに黒いものが纏わりつくように現れる。
って、ちょっと待って? その言いよう、まるでお母さんと旧知の仲のような口ぶりだ。
お母さん!? 鬼童丸と仲良かったの!?
えーー!?