第13章 わくわく京都への旅
その言葉が胸にグサグサ刺さる。
思わず自分の胸元を掴むと、何故か夜リクオ君が横から私の肩ごと身体を抱き込んで来た。
う、え、あ?
り、クオ君!?
突然の事に心臓がドクンッと飛び跳ねる。
思わず夜リクオ君の顔を見上げると、夜リクオ君は平然とした表情のまま、氷麗ちゃんに向かって声を掛けた。
「落ち着け……。氷麗」
「は、はい……、ってリクオ様ぁー!?」
こちらを見てぐるぐる目を見開く氷麗ちゃん。
う、うん。そうだよねー。
近付いて欲しくないのに、近付いてるからだよねー…
でも、なんで肩を抱くんだろ?
友達だから?
そー言えば、仲の良い男友達って良く肩を組むよねー
つらつらと考えていると「舞香。オレの傍から離れるんじゃねぇぜ」という言葉が降って来た。
ん? 離れてはいけない?
ちょっと待って?
今から羽衣狐と対決しに行くんだよね?
そんなリクオ君の傍に離れないように居ろと!?
「無理ーっ!」
「リクオ様、有永…さんもこう言ってますし、ここに置いて行きましょう!」
すかさず氷麗ちゃんが意見を挟む。
待って、待って、ここにポツンと一人置いてかれるのも嫌だー!
「せめて、入口を教えてーっ!」
そうしたら、自力で帰るーーっ!
氷麗ちゃんにそう訴えかけると冷たい目で見返され、フンッと横を向かれた。
な、なんで!?
帰り道を教えて貰えずショックを受けていると、突然背中にゾクッと震えが走る。
え?
思わず後ろを振り向くといつの間にか迫り来ていた黒い影から鈍い光が繰り出され、こちらに向かって一閃された。