第13章 わくわく京都への旅
リクオ君の後ろ、壊れた壁の方に目を向けると氷麗ちゃんと長い枝を咥えた淡島がこちらへと駆け寄って来ていた。
淡島の姿を見たとたん、先程攻撃された事を思い出す。
っっっ!!! に、逃げないと!!
慌てて夜リクオ君から身体を離そうとするが、腕は掴まれたままだ。
「ごめんっ、腕、離してーっ!」
だが外れない。
夜リクオ君は後ろからの気配に気付かないのか、訝し気にこちらを見ているだけだ。
うわわわっ、また攻撃されるーっ!!
心の中で悲鳴を上げていると見る間に2人はこちらに辿り着いた。
リクオ君の後ろに立った2人は同時に口を開く。
「ちょっと有永……、さん! どうしてここに居るのよ! 花開院家で大人しくしてたんじゃなかったの!?」
「リクオぉ、京妖怪掴まえたのかー? そいつすばしっこいこら逃がすんじゃねーぜ!」
「へ?」「ん?」
と、2人は何故か顔を見合わせた。
そして、淡島は片眉を上げると私を指さす。
「こいつ京妖怪じゃねーの?」
「え? 違いますよ? 有永はリクオ様のご学友です」
「はぁああああっ!? これが学友ーっ!?」
素っ頓狂な叫び声を上げる淡島。
これって何。これって。
はー、でも良かったー……
私はほっと胸を撫ぜ下す。
やっと、誤解が解けた。
ありがとー!! 氷麗ちゃん!
心の中で氷麗ちゃんに感謝の言葉を投げかけると、壁の向こうからまた数人駆けて来た。
先頭の傘を被った人と、首を浮遊させている顔の良い人が声を張り上げる。
「若! どうされたのですか!?」
「若!!」
「黒、首無……」
夜リクオ君は後ろを振り向き呟く。
と、はっと何かに気付いたような表情をした氷麗ちゃんが夜リクオ君を見上げ、そして私に視線を移すと厳しい視線を向けて来た。
ん? どしたの? 氷麗ちゃん。
と、この前奴良家にお見舞いに行った時に言われた言葉を思い出した。