第13章 わくわく京都への旅
ぬぬっ……! こんな時なのに、私をからかった!?
うー、と唸る私の腕をリクオ君は取ると、何故かそのまま立たせる。
そして再び先ほどと同じ質問を口にした。
「で、舞香はなんでココに居るんだい? ここは羽衣狐の巣だぜ?」
ん? あぁあ! やっぱりここは弐條城ー!
確信する言葉をありがとう、リクオ君!
心の中で礼をすると、私はここに来た経緯を簡単に説明した。
「うーん? 敵と戦って気絶したかと思ったらここに居て……。なんだか羽衣狐の供物にするために連れて来られたみたい?」
そう。供物。
別名、羽衣狐のご飯。
原作の羽衣狐ってすごく美人さんでちょっと見てみたい気がするけど、会ったとたん口から心臓を吸い上げられるのは、遠慮したい。
痛いのは嫌っ!
そう心の中で呟いていると、夜リクオ君が未だ掴んでいた手に力を入れて来た。
「ん?」
どしたんだろ? と再び夜リクオ君を仰ぎ見ると夜リクオ君は真剣な表情で口を開いた。
「オレがそんな事させねぇ」
その言葉に、心臓がドクンッと大きく脈打つ。
でも、勘違いしてはダメ。
リクオ君は人間も妖怪も傷つけたくない人。
きっとこの言葉もその気持ちから来る言葉だ。絶対にっ!
……でも、そう言ってくれる優しさに感謝しないといけないと思う。
私は気持ちを込めて、夜リクオ君に笑顔を向けた。
「うんっ! リクオ君の傍なら安全だよね! ありがとう!」
と何故かリクオ君は私の頬に手を伸ばし、片手を添えた。
「舞香……」
「ん? 何、何?」
きょとんとしている私に再び夜リクオ君の顔がゆっくりと近付いて来た。
まだ、涙でも残ってる!?
慌てて夜リクオ君の手をどかそうとすると、唐突に夜リクオ君の後ろから女の子2人の声が上がった。
「「あーーっ!!」」
あれ? この聞き覚えのある声は……