第13章 わくわく京都への旅
嗚咽を我慢しながら。リクオ君の胸元をぎゅっと強く握っていると、突然頭の後ろに回された腕に力が籠った。
その力強さがすごく心を丸ごと包んでくれているようで、安心感が胸に広がる。
そしてまた涙が滲み出る。
と、夜リクオ君の優しい声が上から降って来た。
「怖くねぇ。オレが守る……」
オレが守る、オレが守る……
その言葉が耳の奥でリフレインする。
「う、え?」
守る……? 私を……!?
なんで!?
思わず目を丸くしながら顔を上げ、夜リクオ君の端正な顔を見上げた。
朱色がかった金の目は真っ直ぐに私を見つめ返す。
ちょっと待って、ちょっと待って!?
今の言葉で涙が引っ込み正気に戻った私は、今の言葉の意味を考える。
確か今は弐條城での羽衣狐との戦いが始まってんだよね?
その最中、なんで私を守るの!?
それに夜リクオ君が守りたいのはきっと氷麗ちゃん!
あと奴良組の妖怪達!!
私は夜リクオ君の綺麗な目を見ながら、首を横に振った。
「い、いやいや、リクオ君が守るのは私じゃないって!」
「舞香。オレが守っちゃいけねぇ理由でもあんのかい?」
「いや、守って貰えるのは嬉しいけど、でも……」
なんだか、原作と違うーーっ!
心の中であわあわしていると、夜リクオ君は薄い唇の端を持ち上げながら私の髪をわしゃわしゃと掻き混ぜた。
「不安がるんじゃねぇ。オレはウソなんかつかねぇ」
「ちょ、ちょ、ちょーっ!」
髪がもつれるーーっ!
思わず乱れた髪を押さえようと両手を頭の上にやると、スッと顔が近付き「絶対ぇ守ってやる……」と囁かれ、目元をペロリと舐められた。
は、え? え? え?
目元に感じた暖かくも湿った感触に頭の中が真っ白となる。
と、夜リクオ君が「しょっぺぇ……」と呟いた。
あ、あ、あ、
「当たり前ーーっ! 涙だからしょっぱいよ!! て言うか、なんで舐めるのー!!」
舐められたー!
夜リクオ君に舐められたーーっ!
思い切り恥ずかしくなり、顔に熱が籠る。
そんな私の顔を見て、夜リクオ君はくっと喉を鳴らせ小さく笑った。