第13章 わくわく京都への旅
居たくないけど、何故か居るの。すっごく居たくないけどね!
私は心の中で反論する。
いやだって、口を開いたら何故か嬉しさと安堵感がないまぜになり、何故か声が震え涙が出そうだったから。
リクオ君の前で泣きたくないっ!
夜リクオ君は私の上の鬼を蹴り飛ばすと、私の横に片膝を付き、ホラ、と手を伸ばしてくれた。
掴まった手が暖かい。
助かったんだ、と実感する。
と共に更に増した安心感で不覚にも我慢していた涙が目尻から一粒零れ落ちた。
「あ、や、これは、なんていうか、その、欠伸さっきしたからっ!」
私は言い訳しつつ、掴まれて無い方の手で目をゴシゴシ擦った。
「……ばぁか。無理すんじゃねぇ」
と、突然手を頭の後ろに回されグイッとリクオ君の胸元に引き寄せられた。
夜リクオ君の胸元は石鹸の香りがする。
普段なら恥ずかしいはずなのに、安堵感と一緒に何か熱いものが込み上げて来た。
泣きたい。思いっきり泣き出したい。
そして戦いを仕掛けられ、すごく怖かった事を言いたい。
でも、リクオ君に甘えた事言ったらきっと迷惑するかもしれないっ
私は胸から込み上げる熱いものを唇を噛み締め耐える。
でも、喉から痙攣したような音が漏れる。
「う……っく。……、……っ」
そしてじんわり両目から堪えきれなくなった涙が滲み出る。
泣くな、泣くな、泣くな……っ
そう自分に言い聞かせるけど、滲み出る涙は止まらない。
私は震える手で夜リクオ君の着物を強く掴み頭を胸に押し付けた。