第13章 わくわく京都への旅
両手で頭を覆ったまま薄目を開けてみると凄く薄い紫色のバリアみたいなものが目に入って来た。
「は? これ、何?」
両手を頭から外し、今度は全身を眺めてみると身体全体が薄紫色のものに覆われていた。
指で触ってみるが、何も感触は無い。空気みたい。
でもさっきまでこんなものに身体覆われて無かったけど、突然どしたんだろ?
はて、はて? と首を傾げていると淡島が「厄介な鬼だぜ。仕方ねー。とっておきの技食らわしてやるぜ!」と身体の周りに何か黒いものを集め出した。
ちょ、何か嫌な予感がひしひしとっ!
さっきも淡島の攻撃防げたし、今度も防げるよね?
防げる……、多分っ!
でも、怖い!
涙がちょちょ切れそうだ。
「だ、誰かへるぷみーっ!」
思わず泣き声で救いを求めると淡島の後ろから静かな男性の声が聞こえて来た。
「淡島……。待て」
おぉおっ、救いの神ー!
期待を込めて声がした方へ視線を向けると、短い黒髪にアイヌ風味のハチマキを巻き、背中に複数の獲物を担いだ青年が立っていた。
「なんだ-? イタク。邪魔すんなよな! この京妖怪はオレ様の獲物だぜ!」
え!? イタク!? イタク!?
イタクなら私が京妖怪じゃないって判るかも!! 頼れる妖怪、イタク。助けてー!!
「淡島の技を使うまでもない。オレの武器で十分だ」
は?
「いくぞ、京妖怪」
「も、もう、嫌ーーっ! 私、人間ーーっ」