第13章 わくわく京都への旅
いや、まさか、「こんなとこに居るハズは、ないっ!」
淡島が居るとしたら、羽衣狐との決戦の地、弐條城。
茨木童子が私を弐條城に連れて来るはずない。
いや、でも、供物にするって言ってたから、弐條城……?
でも、でも、長髪の妖怪が連れて行くって言ってたから、弐條城じゃない?
うー、うー、「どっち!?」
淡島らしき女性は、私の眉間とぶつけた顎を摩りながらはぁ?と訝し気な声を上げる。
「なんだ? 変な声出しやがって。オレ達から逃げ回っていたのかー?」
スクッと立つと獲物を構え、にやっと笑う淡島らしき女性。
「残念だったな。京の妖怪は全部、遠野の淡島がぶっつぶす!」
「やっぱり、淡島ー!」
「はっ、京まで名が通ってるたー、流石あまのじゃくのオレ様だぜ!」
「いや、私、敵じゃない、敵じゃない! 見ればわかるよね! 私、人間!」
「はぁ? 妖怪にしかみえねぇって」
「なにー!」
って、ちょっと待て私っ。
何か忘れてる。
私は頭の中の原作の知識を高速でめくった。
そう言えば?
宝船に乗って京都に上洛した奴良組の場面の中で……、朝になったのに妖怪のままだったというシーンがあったような?
って事は……
私って花開院家で妖怪に変化したままー!?
思わずムンクの叫びを上げそうになる。
「そんじゃ、いっちょやってやるぜ!」
淡島は腕まくりをする。
細い腕で男とは思えないって……
「ちょ、ちょ、ちょー! 私、今は妖怪だけど人間として生活してて「いくぜー!」ひーっ!」
だから、私戦いは素人ーーっ!
獲物が勢いよく振り下ろされた。
私は恐怖に両手で頭を押さえ目を瞑る。
が、ガッと鈍い音が頭上でしただけで、衝撃や痛みが来ない。
「……、え?」
「面白れぇ、結界を張る鬼か」
「…、は? 結界?」