第13章 わくわく京都への旅
抜き足差し足忍び足っ!
時代劇とかで寝る時に着る白い着物を着た私は、両裾をつまみ上げながら、足音をさせないようにそーっと寝かされていた部屋から遠ざかった。
と言うか、ここに来る前に着てた服どこ?
てか、誰が着替えさせたのー!?
という考えは、なんだか嫌な答えしか出て来そうにないので、考えるのを止めた。
だって、茨木童子に着替えさせられたとしても、漢の人に裸見られたってことで……いーやーっっ!!! 考えたくないっ、考えたくないー!
首をふるふる振りつつ曲がり角を右に曲がると……、鬼さんに出会いました。
うん。鬼。
頭に短い角が2本。ギョロッと動く目玉が一つ。大きな口の中に並ぶ牙。
そしてお腹がでっぷりと出っ張っていて、着ているものは布の腰巻のみ。
肌の色は人間では有り得ない赤色。
「お……っ」
鬼ーーっと叫びそうになるのを堪え、表情筋をひくつかせる。
そして、すぐに後ろから逃げ出せるように身を引く。
と、なぜか鬼は私の額を見ると、「新しいヤツか。あんまり、うろうろすんなよ」と声を掛けそのまま私の横を通り過ぎて行った。
あ、れー?
拍子抜けして肩の力が抜ける。
「なんで? 私人間なのに??」
ふと、先ほどの鬼が額を見ていた事を思い出し、額に手をやるとどんな角か判らないが見事に生えていた。
「あー、仲間と間違えられた? という事は……、ある意味、ラッキー? ………よっし!!」
怪しまれずに、この屋敷みたいなとこから出られる!!
素晴らしい光明を見出した私は、意気揚々と両手を振りながら歩き出した。