第13章 わくわく京都への旅
女神へのくもつ。
あぁ、なーんだ、お供え物かー!
うん、スッキリ!
……って、全然スッキリじゃなーい!
つまるところ、生贄ってヤツー!?
い、い、い、生贄は嫌ー! 死にたくないっ!!
に、に、逃げないと! でも、どうやって逃げればっ!?
このまま起き上がっても、茨木童子には敵わないし、どうすれば!?
うううっ、お母さん、お父さんー! リクオ、君ーーっ!
心の中でこれから起こる事への恐怖に叫んでいると、茨木童子が苛ついた口調で言葉を吐き出した。
「クソ虫がっ、オレの事なめてんのか? あぁあん?」
「私が口にするのは、真実のみ」
「それがなめてんだよ。表出ろや、クソ虫」
「野蛮ですね。しかしそれしかないというならば敢えて享受しましょう」
と、空気が動く気配と共に荒々しい足音が傍から遠ざかって行った。
辺りが静寂に包まれる。
……、2人共どっか行った……?
そーっと薄目を開けて、2人の姿が無い事を確認すると、私は勢い良く布団を跳ね除け起き上がった。
寝かされていたのは、見た事も無い和室だった。
障子の向こうを見るとリクオ君の家とは趣が違うけど綺麗に整えられた庭園があった。
ここがどこか判らない。
でも
「に、に、逃げなきゃっ!」
私は障子の間から顔を出すと左右を見る。
右も左も長い廊下が延々と続いてる。
どこから外に出れるのか判らない。
広い庭の向こうは白い塀が立ちはだかっている。
私にはよじ登れそうもない。
こうなったら、取り敢えず、
「右に行こうっ!」
勘任せー!
私は冷たい廊下の上に足を進めた。