第13章 わくわく京都への旅
私は本能の赴くまま片手を挙げると「雷撃」と唱えた。
すると4匹の頭上にどこからともなく現れた大きな稲光が枝分かれし、4匹の妖怪達の身体を貫いた。
一瞬のうちに4匹の身体は、稲光の中で黒焦げとなり、光が消え去った後は何の欠片も残っていなかった。
「……、はぁーっ」
私は肩の力を抜き、大きく息を吐く。
守れた! 友達守れたよ!
「良かったぁー!」
これで、外の妖怪が居なくなれば、万事解決っ!
ぐっと拳を握っていると、二の腕にかかる長い黒髪に気付いた。
「ん? なに? この長い髪?」
二の腕にかかった髪を引っ張ると、自分の頭皮が引っ張られ痛い。
「は……!? なんで私こんなに髪長くなってんの!? しかもなんだかキューテクルがかかってるみたいに艶やかだし!」
どーなってるの?
首を捻るが、答えは出ない。
「まぁ、害は無さそうだから、いっか」
答えの出ない考えを放棄し、私は改めて部屋の中を見回す。
本気でボロボロになってるなぁ……
妖怪からの敵襲が終わったら、私達今度はどこで過ごすようになるんだろ?
と、とりとめのない事を考えていると、ふとソファーの向かいにある液晶テレビの黒い画面に映る少女の存在に気が付いた。
「あれ? 見た事無い女の子。なんだか、顔立ちがお母さんに似てる?」
そう言いつつじっと見ていたが、あれ? と首を傾げる。
この部屋に立っている人物は私しかいない。
テレビの周辺には誰も居ない。私だけ。
………、って、このテレビの黒画面に映ってるのって、もしかして、もしかして……
「わたしーっ!?」
ゴガッ
驚きの声を上げると共に、テレビ画面と反対方向の壁が吹き飛んだ。
「うわわっ!?」
壁が吹き飛ぶ場面なんて初めて見たから、心臓のバクバクが止まらない。
なんで、壁吹き飛んだのー!?
目を丸くして、埃と砂が舞っている壊れた壁の部分を見ていると、そこから古い板のようなものを片方の顔に貼り付けた男が現れた。
「でかい畏れを感じて来たが、女。お前か」