第13章 わくわく京都への旅
そんなゆらちゃんに気付いた巻さんは、清継君を揺さぶるのを止めゆらちゃんの方に顔を向けた。
私達も立ち上がったゆらちゃんを見上げる。
「ゆらちゃん?」
「どしたの?」
それぞれ疑問の言葉を投げかけると、ゆらちゃんは何かを決意したような目をしながら、口を開いた。
「相国寺に行くんや」
「相国寺って……もしかして、封印のある場所かい!?」
吃驚する清継君へ続くように、巻さんと鳥居さんが声を上げた。
「ちょっと、そこスゲー危ないとこじゃん!」
「なんでゆらちゃんも!? 中学生だから、大人の陰陽師に任せとけばいいのに!」
私とカナちゃんも、うんうん、と頷く。
原作ではゆらちゃんが戦うのは、漫画だからか何も違和感感じなかったけど、実際目の辺りにすると、なんだか変な感じがする。
ゆらちゃんは、まだ中学生なんだから、戦いは大人に任せた方がいい。
絶対、そうだ。
と思っていると、ゆらちゃんは決意の籠ったような声音で、言葉を紡いだ。
「うちは花開院の陰陽師や。だから、敵に背を向けて逃げたらあかん」
そう言うと、ゆらちゃんは返す言葉を失った私達に背を向け、部屋から出て行った。
陰陽師は敵に背を向けたらいけないって小さい頃から、教え込まれて来たのかもしれない。
でも、教え込まれたものに目を背けず従うのも、ゆらちゃんの強い意志だ。
「強いなぁ……」
私は自分の行動を省みた。
逃げてばっかりだ。
人間だから、妖怪に変化出来ないから、と言うのは言い訳にしかならないかもしれない。
真正面から物事を受け止めた事はない。
でも、でもっ!
逃げたいのは、仕方ないっ!
うん。人は人。私は私! このスタンスは変えないって事で!
三十六計逃げるにしかずって言うしね!
私は、前を向きながらぐっと拳を握った。
と、島君がポツンと言葉を漏らす。
「そう言えば、誰も来ないっすけど、このままここで雑魚寝っすか?」
………
皆はその言葉に、足元の板間を見る。
寝るとすごく体が痛くなりそうだ。
ゆらちゃーん! カムバーック!!