第13章 わくわく京都への旅
その切羽詰まったような表情に、私はまた原作を思い出す。
そうだ。原作では羽衣狐が復活し、次々と封印を破り怒涛の如く勢力を増していた。
現実でもそうなんだろう。
勢力を増すという事は、妖怪があちらこちらに蔓延り出すという事で、ゆらちゃん達陰陽師は一般人達を守るために頑張ってる。
そう思うと京都に来てしまったのが、なんだか申し訳なくて仕方なかった。
ゆらちゃん、手間かけさせてしまって、ごめんっ!
心の中で謝っていると、ゆらちゃんは私達一人ひとりの顔を見回し小さく溜息をついた。
「仕方あらへん……。ついて来るんや。このままだと別の妖に襲われるさかい」
清継君と島君は、どうして妖におかされつつあるのか全く意味が判らない、と言う顔をする。
そして、私とカナちゃんは、神妙な顔をし頷いた。
巻さんと鳥居さんが気付くのを待ち、それから歩き出したゆらちゃんに私達は付いて行く。
と、夜の京都の町中を歩きながら、ふと疑問が浮かんできた。
「そう言えば今日の宿泊先ってどこだったんだろ? もうチェックインの時間過ぎてるよねー」
そう呟くと右隣に並んで歩いていたカナちゃんが苦笑した。
「清継君、ゆらちゃんの所に泊まるつもりで、宿とってなかったみたい」
その言葉に思わずカナちゃんの顔を見る。
「えぇえ!? 宿とってないっ!? むーん? じゃあ、事前にゆらちゃんへ連絡してたとか?」
いや、連絡してたら、今の京都は危ないからって断られてたよねー。
と、カナちゃんは苦笑したまま首を振った。
「ううん。着いてから連絡しようとしてたみたいよ」
「ちょっ、連絡付かなかったらどしてたのー!? 野宿!? 神社の中とかで野宿!? いやー! 清継君のばかー!」