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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第13章 わくわく京都への旅


ゆらちゃんは氷麗ちゃんの言葉に返事を返さず、引っ張っていたカナちゃんを私の身体に押し付けた。

「わっ!」
「きゃっ!」
「家長さんを頼むで!」

早口でまくしたてると、ゆらちゃんは後ろへと振り向き、人型の式神を構えた。
それを見た氷麗ちゃんも、ゆらちゃんの横に並び、厳しい顔つきで暗闇で先が何も見えない奥の方を見つめる。

ゆらちゃんが戦闘態勢に入ってるって事は、2人を追いかけていたのって妖怪!?
私は、お母さんの血が入ってるけど、妖怪に自在に変身できないから、今は役に立たない。
真正面から戦うなんてもっての他だ。

で、も……っ

私は涙目のカナちゃんを背中に庇うと、両手を広げた。

大事な友達は、妖怪なんかに襲わせたくない!
身体を張ってでも、守りたい!!
怖いけど、怖いけど、守りたい!

「カ、カナちゃん! 絶対守るから、私の背中から離れちゃダメだよ!」
「う、ん、でも、舞香ちゃんが……」
「私なら、大丈夫!! 結構、頑丈と思うから!」

そう。お母さんの血が入ってるから、多少怪我しても死ぬ事は無いと思う。多分っ!

私は、緊張に顔をこわばらせながらも、きつい目で境内の奥を見つめた。
と、闇から滲み出るように、巻さんと鳥居さんを腕に捕らえた2匹の妖怪が姿を現した。
顔はいびつで醜く、肌の色も人間では有り得ない色を有している。
その妖怪達にゆらちゃんと氷麗ちゃんは、揃って技を繰り出した。

「我が式神廉貞よ……。我が身の為に力となり、闇を滅せよ! 黄泉葬送水泡銃ーっ!」
「我が身にまといし眷属……氷結せよ。客人を冷たくもてなせ! 風声鶴麗ー!」

ゆらちゃんの放った凄まじい水の弾丸が2匹の脇腹を貫き、氷麗ちゃんの放った冷気は2匹を瞬く間に氷柱へと変えた。
氷柱に変った2匹の腕から、巻さんと鳥居さんの身体がずり落ちる。

よ、かったー……っっ

巻さんと鳥居さんが助かった事に、ほっと息を付く。
氷麗ちゃんとゆらちゃんは、気を失っている2人の身体を近くにある灯篭へと凭れかけさせた。
そして、汗を拭う仕草をした氷麗ちゃんは、氷柱となった妖怪の姿が畏れを失って形が崩れ去るのを見つめる。

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