第13章 わくわく京都への旅
奴良家でのやり取りが脳裏に蘇り、身体が固くなる。
緊張でこわばる私の前に、階段の下から私服を着た氷麗ちゃんと学生服を着たがたいの大きな男子生徒が現れた。
多分、青田坊だと思うけど、原作の中でも触れられてるように中学生には見えない。
氷麗ちゃんは、私を見ると真剣な表情を作り、可愛らしい声を張り上げた。
「あんたも居たのね! 皆、無事!?」
無事って……、何の事を言ってるのだろう?
言われた意味が判らず首を傾げたが、ふいに原作の知識が頭の中に蘇って来た。
そう言えば、清継君達って京都に到着した早々、誰かが妖怪に襲われてたっけ?
……って、それって巻さんと鳥居さんー!?
えぇ!? 居ないって事は、現実でも襲われたって事!?
「うそっ、どうしよう!! どこで襲われたんだろ!?」
胸の中で不安と心配が入り混じり、私は周りを見回した。
け、怪我、してないよね!?
と、境内の奥の方から誰かがこちらに向かって走って来た。
巻さんと鳥居さん!?
思わず目を凝らすが、走って来たのは巻さんと鳥居さんでは無かった。
黒いフードに身を包んだゆらちゃんに、さっきまで私と一緒に居たカナちゃんだった。
必死に走り来る2人に、目を瞬かせる。
何かに、追われてる?
と、ゆらちゃんは後ろに向かって何かを喋り、再びこちらに顔を向けた。
私達の姿が目に入ったのか、ゆらちゃんは驚きに目を見開く。
「花開院さん、カナちゃん! どしたの!?」
そう問いかけると、咎める様な声音でゆらちゃんから返事が返って来た。
「雪女に、有永さん!! どうして、あんたらもここに居るんや!」
「どうしてって……」
「陰陽師娘! あんたこそどうしたのよ!」