第13章 わくわく京都への旅
「別に興奮しなくても、いいと思うよー?」
「ふむ。有永さん、今日はなんだかテンションが低いようだね。トイレを我慢しているのかい?」
「我慢してないよ! 普通ーっ!」
そう清継君と言葉を交わすと、清継君を先頭にしながら九坂神社の門へ続く階段を上り、朱色っぽい門をくぐった。
四角い石ダイルを敷き詰めた道を歩く。
だが、夜なので周りが良く見えない。
風が境内の木々の枝を揺する音が聞こえる中、カナちゃんが恐々と口を開いた。
「ねえ、清継君。なんで夜からスタートなの?」
「はっはっはっ、それは妖怪ツアーだからだよ! 家長さん!」
ん? 妖怪ツアー? この旅行ってそういう名目だったっけ?
確か、夏休みの自由研究の為の旅行で、妖怪を巡って調べる旅?
……、あー、妖怪巡りは、妖怪ツアーとも言えるかも。
そこまで、考えが及ばなかったよ。私。
あはははー、と乾いた笑い声を漏らす私を置いて、清継君は声をまた張り上げた。
「夜でしか感じない周りに漂う妖しい気! これだったら必ず妖怪に会えると思わないかい!?」
カナちゃんは、「うぅ……やっぱり来なきゃよかった ……」と肩を落とす。
私は、暗い闇に沈んでいる境内を見回した。
別に妖しい妖気は感じない。少し肌寒いだけ。
って、あれ?
巻さんと鳥居さんが居ない?
「どこ行ったんだろ? まだ門くぐって無いのかな?」
数十メートル後ろの門を見る。
だが、2人が姿を現す様子は一向に無かった。
どうしたんだろ?
もしかして、階段踏み外してたりとか?
少し心配になり、私は「ちょっと巻さんと鳥居さんの様子見てくるよ!」と清継君に伝え、九坂神社の門へと駆け足で戻った。
門をくぐり、階段の下に向かって声を掛ける。
「巻さん、鳥居さん、大丈夫ー!?」
「その声……、有永?」
返って来たのは、巻さんや鳥居さんの声ではなく、可愛らしい氷麗ちゃんの声だった。
……、つ、らら、ちゃん!?