第13章 わくわく京都への旅
リクオ君の名前に、心臓が強く飛び跳ねたけど、私はそれをスルーし、首を傾げた。
「さあ? リクオ君と連絡なんて取ってないから、わかんない。あ! 清継君に聞いてみたら? ほら、旅行についての連絡、清継君が全部してたし、何か知ってるかも!」
そう言うと、カナちゃんはコクリと頷いた。
「うん。そうだよね! 清継君に聞いてみる! ありがとう、舞香ちゃん」
「あはは、お礼を言われるほどじゃないよ。あ、ほら早く聞かないと出発の時間になるかも!」
「あ! ホントだわ!」
カナちゃんは、慌てて島君と雑談をしている清継君に駆け寄って行った。
私は、ふう、と息を吐き出した。
リクオ君の事忘れるって決めたのに、なんで私の心臓、リクオ君の名前に反応するんだろう。
リクオ君の事なんて、気にしない。気にしない。
私は、目を閉じ、自分に言い聞かせた。
良し! 大丈夫!
パンッと両頬をはたくと、カナちゃんと話しが終わったのか清継君達が改札口に向かって歩き出したので、私も慌てて後ろに続いた。
新幹線で3時間弱かけ京都駅に着くと、清継君はタクシーを2台拾い、京都祇園の九坂神社へと行先を指定した。
九坂神社の前で降ろして貰うと、20時過ぎなので、辺りはもう暗闇に包まれていた。
しかし、清継君は目的地に着いた事でテンションは再びマックスへと跳ね上がっていた。
「見たまえー! 諸君!! 『ミッドナルド』の色が白ベースだ!! 『ノーソン』も白地に黒だー! 素晴らしい! これこそ京都! 清十字団イン京都ぉー!!」
「元気っすね。清継君」
大声を張り上げる清継君を見ながら島君は感心したように口を開く。
私はそんな2人を見ながら、人差指で片方の耳に耳栓をした。
「清継君。夜に大声張り上げるの止めようよ。周りが迷惑! 私も迷惑!」
そう伝えると、清継君はクルッとこちらへ振り向き、拳を握りしめた。
「有永さん! ボク達は今古の都、京の地を踏んでいるんだよ!? 興奮しなくてどうするんだい!!」