第13章 わくわく京都への旅
奴良家から帰ると私は、急いで自分の部屋に駆け込んだ。
そして、ベッドの傍に座り込むと頭をベッドの縁に凭れかけた。
もう涙は出ないけど、胸が痛い。
私は胸を押さえながら、頭をぶんぶんと振る。
唇を噛み締め、頭を上げた。
「うー、メソメソしてても始まらない! 元気出そう、私! リクオ君に近寄れないのは、悲しいけど、考えたら良い機会っ!」
そう。近寄らなかったら、リクオ君を好きって気持ちも出ない。
平穏に生きていける!
「まあ、友達として遊べないのすごく寂しいけど、でも、友達はリクオ君だけじゃないしっ!」
私は両頬をベシンッと強く叩く。
「よしっ! リクオ君の事は、忘れる!」
そう決意すると、さっそく思考を切り替え、漫画を手に取った。
数日後、清継君から連絡があり、3日後に京都へ出立するという事だった。
私は早速旅行の用意をする。
着替えは一週間分。そして簡単な小物と、暇な時に遊べるトランプとかをリュックに詰める。
そして、私はまだ見ぬ未知の肉料理に思いを馳せた。
「肉料理、どんなのがあるんだろ? 楽しみー!」
肉料理の事を考えるとドキドキワクワクした。
早く当日にならないかなー、と3日間ずっと思っていると、あっと言う間に出発の日がやって来た。
何故か夕方、浮世絵町駅に集合との事だったが、肉の事で頭がいっぱいだった私は、細かい事は気にも止めなかった。
浮世絵町駅に集まったのは、清継君、島君、巻さん、鳥居さん、そしてカナちゃんに私の6人だった。
「やあやあ、皆、良く集まってくれたね! 準備万端かい!?」
おー! と皆揃って声を上げる。
「それじゃあ、みんな。魅惑の都、京都に出発だー!」
テンションマックスの清継君の号令に、再び皆が おー!と声を上げる中、私の隣に居るカナちゃんが周りをキョロキョロと見回していた。
「どしたの? カナちゃん。何か落とし物?」
そう問うと、カナちゃんは口元に手を当て、眉を下げながら首を振る。
「ううん。リクオ君、来てないなぁって思って……。もしかしてまた遅刻かしら?」