第13章 わくわく京都への旅
と、私の言葉に全否定していたお母さんが、突然視線をダイニングキッチンの入口の方へ向けた。
そして微かにガチャリとドアの開く音が聞こえると共に、お母さんの姿が瞬く間に消える。
響く「ただいま」と言うお父さんの声と、「お帰りなさいなのじゃ、背の君!」というお母さんの高い声が聞こえて来る。
ふう、アツアツな2人は平常運転だ。
私は溜息を付くと、テーブルの上にぐでっと腕を伸ばし顔を伏せた。
疲れたーっ、お母さんが、中々折れないー……
どうやったら、OK貰えるだろう?
テーブルに突っ伏しながら、ぐるぐる考えていると、ふいに頭に上へ暖かい手がぽんっと乗せられた。
顔を上げ見上げると、にこにこ笑っているお父さんだった。
「ただいま。舞香」
「おかえりー、お父さんー」
ぐでっとした姿に、お父さんは、朗らかに笑う。
「ははは。どうしたんだい? やけに疲れてるじゃないか。お母さんがら聞いたけど、京都へ旅行行きたいんだって?」
「うん。皆で京都に旅行ー。でも、お母さんから猛反対されて、困ってるの。おとーさん、だめー?」
もしかして、という期待を込めて見上げるが、お父さんの後ろからお母さんが咎めるように口を開いた。
「何度も言うようじゃがダメじゃ。舞香の為に反対しておるのが、何故判らぬのじゃ! 京の結界の中はどうなっておるか判らぬ! 危険極まりない場所じゃ!」
「うん。僕の血を引いてるから無事結界を抜けると思うけど、そうだね。確かに今の京の状態は危ないね」
頷くお父さんに絶望を覚えると同時に、何故今の京都が危ないと知っているのか疑問が沸いて来た。
なので、その理由を聞いてみたくて私は、疑問を口にした。
「お父さん。なんで、今の京都って危ないの?」
お父さんは私の言葉に微笑する。
「それは舞香が一番判ってるんじゃないのかい?」
「へ?」