第13章 わくわく京都への旅
と、私を見たリクオ君も見る間に顔が赤くなり、それを隠すかのように自分の手の平で口元を覆い、私から視線を逸らした。
あ、れ? なんで視線を逸らすんだろう?
それに胸が傷ついたみたいに少し痛くなった。
私は思わずリクオ君に向かって口を開く。
「あの、リクオ君、私なにか「奴良君、聞いてるかい? 夏休みなのにゆら君は京都に帰ってしまったんだよ!」
悪い事でもした? と続けようとしたら、清継君の言葉が遮った。
うー、聞きたかったのに……
ジト目で清継君を見るが、清継君は私の視線に構わず言葉を続けた。
「そう。京都なんかにだよ…‥! 判るかい!? ボクの気持ちが!」
「あははは……、いや、まったく……」
詰め寄る清継君にリクオ君は苦笑しながら小さく首を振る。
と、近くで様子を伺っていた鳥居さんと巻さんが、口を開いた。
「京都はゆらちゃんの実家なんだから、夏休みに帰るのって普通でしょ?」
「清継ー、みんな集まったじゃん。話しって何よー」
「ん? バーベキューの話しだよね? お腹空かせて来たんだよ!」
私は巻さんと鳥居さんに笑顔を向けた。
しかし、私の言葉に清継君が大きな声で否定した。
「有永さん、何を勘違いしているんだい!? ボクが話したい事はもっと別の事だよ!」
「えー……」
私はガックリ肩を落とす。
「バーベキューだと思ったから、来たのにー……」
カナちゃんが、苦笑しながら私の肩をぽんぽんと叩いて慰めてくれる。
うう、カナちゃん……優しいっ!
じーんとしながら、カナちゃんを見ていると、清継君は言葉を続けた。
「ふふ、聞けばきっと有永さんもバーベキューより喜ぶ事となるさ! 京! 京と言えば歴史……と妖怪だ! と、言う事でみんなで京に旅行に行こう!」
おぉー! と巻さん、鳥居さんから感嘆の声と拍手が上がる。
「うー、旅行も楽しそうだけど! って、京?」
あれ? こういう話しって原作にあった、ね。
確か、羽衣狐との闘いの序章だったっけ?
って、すっかり忘れてたー!
私はそっとリクオ君の方に視線を向けた。
リクオ君は清継君に何か言おうと口を開くが、すぐに口を閉じる。
何を言おうとしてたんだろう?
リクオ君?