第12章 陰陽師には近寄るべからず
「待って、待って! 妖怪のリクオ君と一緒にするんじゃなーいーっ!」
「舞香は妖怪になりゃあ、強ぇじゃねぇか」
「いやいやいや、自由に変身出来ないって!」
って、言うか、妖怪になっても夜リクオ君の力に勝てるか謎だけどっ!
「はーなーしーてー!」
じたばた身体を動かしていると、何故か更に腕の力が強まった。
そして、私の肩に顎を乗せながら夜リクオ君はぽそっと呟いた。
「なんでだろうな……」
「うー、うー、ん? え?」
夜リクオ君の方に顔を向けると、私の視線に気付いた夜リクオ君は、からかうように唇を持ち上げ口を開いた。
「いや、なんでもねぇ。暴れるのも可愛いが、もうちっと静かにしねぇと舞香の親父やお袋が起きてきちまうぜ?」
可愛い、という言葉に心臓がどくんっと飛び跳ねる。
でも、即座に私を褒めるわけない! と何故か判らないけど沸きだした嬉しさに震える心を打ち消した。
いやいやいや、騙されちゃだめだ、ダメ、ダメ。きっとからかい半分で言ってるだけ。
私は、ドキドキしだす胸をそう考えて沈静化させる。
って、あれ? その後の言葉、なんて言ってたっけ?
確か、私のお父さんやお母さんが、起きてくる………。
ひーっ、こんな体勢見られたら、絶対お母さん思い切り怒るーー! 優しいお父さんもこの体勢を見たら、絶対私の味方はしてくれない!!
サーッと顔から血の気が引いて行く。
どうしよー!! って、冷静に考えて! 私!
「リクオ君が離してくれれば万事解決! ってことで、いい加減離してー!」
「こうしてんの嫌じゃねぇんだろ? ならいいじゃねぇか」
「いやいやいや、そうじゃなくって! 抱き着くなら好きな子でしょ!? なんでからかう為だけに、抱き着くのー!」
「わかんねぇかい?」
「わけわかんないよ!!」
「離したくねぇからに決まってんじゃねぇか……」
「はえ?」
それってどういう意味!? 抱き枕!? 抱き枕的!?
確かに、抱き枕は魅力的!
「って、私は抱き枕じゃなーい!」