第12章 陰陽師には近寄るべからず
どういう風に考えるとそんな結論が出せるの!? と口を開きかけると、そのまま耳に何故か吐息を吹き込まれた。
「ひぇぃっ!?」
耳元がゾクゾクして、思わず肩を竦めてしまう。
「な、な、なんで息吹きかけるのー! 離して、はなしーてーっ!」
腕から逃れようとうごうごしていると、今度は同じ方の耳をかぷっと噛まれた。
「ひやぃっ!?」
生暖かい感触にさっきより、更にゾクゾクし、その感じが身体に広がった。
そして何故か顔に身体中の血液が集まるようにすごく熱くなる。
なんで!? なんで、噛むのー!?
頭が混乱し、答えが出ない迷路に迷い込んだようにぐるぐるしていると、後ろで夜リクオ君がクッと喉で笑う気配がした。
も、も、もしかして、もしかして、またからかわれたー!?
私は、からかい防止の為、身体を出来るだけ前に倒し左手で耳を隠すと後ろを振り返った。
でも、中途半端な状態で後ろを振り返っているから、夜リクオ君の姿は見えない。
それでも、文句を言おうと口を開きかけると、夜リクオ君も前のめりになり私を抱えなおし私の左手首を掴み取った。
背中と密着した夜リクオ君の体温に、私はまたあわあわする。
「ちょ、ちょっ、くっつきすぎーっ!」
「真っ赤になっちまった耳、隠しても無駄だぜ?」
その言葉と共に、また耳の奥に吐息を吹き込まれた。
「ひょい、やめーっ!」
慌てたあまり、変な言葉を発した事も気付かず肩をまた竦めると、ククッとまた笑われた。
悔しさがだんだん胸に募って来る。
しかし、離して貰わないと反撃できない。
「うー、リクオ君! 離して!!」
まずは掴まれた腕を離して貰おうと一生懸命動かすが、少ししか動かない。
「離して欲しけりゃ、オレを押しのけりゃあいいじゃねぇか」