第12章 陰陽師には近寄るべからず
「陰陽師にも会ったんだが、舞香。お前ぇを襲った陰陽師って奴、こう目付きの悪ぃ奴だったのかい?」
「あ、そうそう、実際見てみると、ほんと目付きが悪いよね! ……って、あ……」
だから、なんで私の口って正直者ーー!
どうやって、言い訳する!? 今顔思い出した事にした方がいいかな? それとも、このまま誤魔化す?
頭の中でぐるぐる考えていると、何故か夜リクオ君は「やっぱりか……。くそっ……」と呟き、私の言葉はスルーされた。
そして、夜リクオ君は悔しそうに拳を握る。
「今度、会ったらぜってぇ……」
何? 何があったの!? リクオ君!?
もしかして、原作と違う事が起こった!?
いや、起こる事柄は原作の通りに流れてるから、違う事が起こるなんて考えにくい。
と、言う事は………あ、そっか!
私は再び手をぽんっと叩いた。
夜リクオ君、結果的には勝ったけど、辛勝だったから今度は余裕で勝ちたいって事だね!
夜リクオ君も年相応の男の子だったんだなぁ。うんうん。
一人、目を閉じコクコクと頷いていると、間近で「ずいぶん余裕じゃねぇか……。舞香」と艶のある低い声が聞こえて来た。
その声の近さを疑問に思い、ん? と目を開くと、いつの間に近付いて来ていたのか、すぐ目と鼻の先に夜リクオ君の端整な顔があった。
「わわっ!!」
思わず目を見開き、後ろに身体を引く。
心臓がバクバク鳴り始め、顔に熱が集中して行く。
「な、な、な……! 吃驚したよ! リクオ君! 顔、近づけすぎ!」
「いいじゃねぇか。別に取って食おうなんざ思っちゃいねぇぜ?」
た、食べる!? 今のリクオ君は妖怪だからあり得るかも!?
顔を近づけられ、焦っていたのか、まともに考える事が出来なかった。
私はその言葉に青ざめるとぶんぶんと首を横に振る。
「た、食べられる前に、私が焼肉にして食べる!」
ど、どうだ! これで、食べる気失せたよね!
冷や汗を掻きながらも、夜リクオ君の反応を伺っていると、何故かぷっと小さく噴き出した。
「え? え? え? な、何? なんで笑うの!?」