第12章 陰陽師には近寄るべからず
あれから2日経つが、何も起こらなかった。
恐る恐る外に出ても、陰陽師のあの2人とは出くわさない。
正直、ほっとした。
逃げるが勝ちと心に決めていても、再び再会した事を考えると心臓がきゅっと締まる。
今日も朝からベッドの上でのんびり友達から借りた青年格闘漫画を読んでいると、電話が階下から鳴り響く。
しかし、お母さんは買い物に出ていて居ないのか、ずっと止む事無く、鳴り響いている。
うー、面倒ー
私は鳴り止む気配を見せない電話に眉を顰めながら、階段を降りると電話を取った。
「もしもし………」
『やあやあ、有永さん! やっと出てくれたね! 清継だよ。今日、うちに皆で集まるのだが、有永さんも来てくれたまえ!』
「え」
この暑い中、清継君の家に行くのー!?
いやだー……
しかも、前は皆で行ったから道筋をあまり覚えてない。
と、言う事で
「パス1で」
『ハッハッハッ、バスでいの一番に来てくれるんだね! 判ったよ、待ってるよ! 有永さん!』
「ちょーっと待ったぁーーっ! 待った、待ったーーっ!」
誰も行くって言ってないよ!? 清継君! 聞き間違えー!
『なんだい? 有永さん?』
「いやいやいや、パスって言ったのは、えーっと、あーっと、そだ! 今日、外せない用事があって、行けないって意味で…‥、だから……」
『え!? 来れないのかい!? 今日はみんなでまた旅行に行く為にエースのゆらくん探しをするんだぞ! 用事をすぐ済ませてすぐ来てくれたまえ!』
こらこら、何故強制参加になるー!
って、あ、れ? エースのゆらちゃんを探しに行く?
頭の中で原作での出来事が浮かんで来る。
確か夏休みに入ってから、ゆらちゃん探しが勃発。
そして、ゆらちゃんを初めに見つけたリクオ君とゆらちゃんのお兄さん、竜二さんと戦いを始める。
って、私も鳥居さんや巻さん達と一緒にあてどもなく河原を探してればいいけど、もしも……、もしも、リクオ君と一緒だったら、確実にあの2人とご対面ーっ!?
リクオ君は、途中で夜リクオ君に変身して戦えるからいいけど、私は自在に変身できない!
竜二さんと夜リクオ君が戦っている間、魔魅流さんに攻撃されたら……確実に死ぬ!!
いや、雷の耐性はあるけど、殺す気満々で蹴ったり殴られたりしたら、絶対死ぬ!!