第12章 陰陽師には近寄るべからず
頭を抱えて、どうしよう、どうしよう、とぐるぐるしていると、お母さんが更に秀麗な顔を近づけて詰め寄って来た。
「舞香! きちんと話すのじゃ!」
「う、あ、えーっと……その」
「オレも詳しく聞きてぇ……」
夜リクオ君も、低い声で口を開く。
私は、ぐるぐると原作の事を思い出す。
さっき理不尽な理由で攻撃して来たゆらちゃんのお兄さんの竜二さんと、魔魅流さん。
最初は相容れなくて戦いになってしまうけど、話しが進むにつれ、なんだかんだと言いながらも協力し合って行くんだよね?
でも、ここで私が2人に攻撃されたって話したら……
お母さんはきっと怒ってくれるだろう。
きっと、夜リクオ君も。だって、原作では友達のゆらちゃんを竜二さんから攻撃されて怒ってたもの。
現実の夜リクオ君も友達を大切にする人だと思う。
でも、なんだか夜リクオ君に迷惑かけたくない。もちろん昼リクオ君にもだ。
私の為に怒りを募らせるなんて事させたくない。
私は2人にへらっと笑った。
「あははー、頭打った所為か、攻撃して来た陰陽師の顔忘れちゃったよ。ごめんー!」
夜リクオ君は私の言葉に無言で眉を顰める。
そしてお母さんは、目をカッと見開くと、私の頭を触りまくって来た。
「どこじゃ!? どこを打ったのじゃ!? ここかえ? それともここかえ?」
「うわっ、お母さん、今は痛くない、痛くないから! っつー!」
お母さんが後頭部と側頭部の間に触れたとたん、ヅクンッと痛みが走る。
起きた時、痛かった場所だ。
もしかして、たんこぶになってる?
痛む場所に手を当てていると、お母さんが慌てたように夜リクオ君へと声を張り上げた。
「童(わっぱ)、舞香を病院へ連れて行くゆえ、車を呼ぶのじゃ!」
「え? ちょ、ちょ、お母さん!? ただのたんこぶだよ!?」