第12章 陰陽師には近寄るべからず
「お母さん?」
どうして、ここに?
まだ連絡も何もしてないと思うんだけど……。 あ。リクオ君か奴良家の誰かが家に連絡してくれたのかな?
そう思っていると、私の手を握っていた夜リクオ君をドンッと押しのけ、お母さんは私にガバリと抱き着いて来た。
相変わらず良い香りが鼻をくすぐる。
「舞香! 舞香! 暗ろうなっても戻らぬゆえ、心配したのじゃぞ!」
「あー……」
そう言えば攻撃された時は、もう辺りが薄暗闇に包まれていた。
あれからここで気が付くまで、どのくらい時間が経ったか判らない。
お父さんとお母さんにすごく心配かけたかもしれない。
「ごめんなさい。お母さん……」
申し訳なくて仕方ない。
「舞香が無事ならば良いのじゃ」
そう言うとお母さんは私の頭を撫ぜ顔を上げた。そして、今更のように周りを見回した。
そして眉を少し顰めると、ひたと私を見つめた。
「舞香。何故このようなところに横になっておるのじゃ? 何事かあったのかえ?」
「え?」
そう言えば!
今の状況は、白い夜巻きを着て布団から半身を起き上がらせている状態だ。
普通に友達の家へ訪問している状態なら、こんな姿になってない。
でも、この白い夜巻きは、夜リクオ君が着替えさせたんじゃないって事は判る。
夜リクオ君はからかって来るけど、一応女の子の私を着替えさせるなんて事するはずはない。
多分、水の攻撃で服が濡れてたから、奴良家の女妖怪さんが着替えさせてくれたんだろう。
濡れたまま寝かすと、布団がびしょびしょになるしね!
でも、お母さんにどう説明すればいいんだろ?
「陰陽師に攻撃された? いやいや、正直に言ったら、お母さんにもっと心配かけるし……うーん。ちょっと転んで頭打った事にしたら……」
「舞香!」
「は、はいぃ!?」
「陰陽師に攻撃されたとは、どういう事じゃ!?」
「え!? なんで、そのこと知ってんの!?」
「………。口に出してたぜ」
陰陽師に襲われてた事を知っていたお母さんに驚く私に、夜リクオ君が自分の膝に肘を付き頬杖をしながら、呆れた口調で呟く。
私の口の正直者ー!!